My Photo

twitter

November 2016
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

Recent Trackbacks

無料ブログはココログ

« 地獄の番犬ケルベロス 従わなきゃならないものなんて、何もない。 | Main | 技術者で音楽家 »

~星空に迷い込んだ男~クルト・ワイルの世界/VA ノンジャンルなコンポーザーとプロデューサーの出会い

Lost in the Star The Music of Kurt Weill/Various Artists (LP;A&M AMP-28138 CD;不明 1985)

 クルト・ワイルと言う人は、1920年頃に活躍したドイツの作曲家。代表作に「三文オペラ」などがあり、詩人ブレヒトとのソング・ライティング・コンビは特に有名である。とまあ、説明的な話はここまで。後は例によって各自掘り下げていただくとして、当HPらしく極私的”クルト・ワイル論”をさっさとはじめましょう。

 一時期このクルト・ワイルにかなりはまりこんだ事がある。そのきっかけとなったのが「第一夜」で取り上げた「愛はすべてを赦す/加藤登紀子 with 坂本龍一」。これでワイルの曲の魅力を知った私は、その後いろんなレコードを漁る事になる。その結果、多くのアーティストがワイルの曲を取り上げていた事を発見する。

 なんと言っても「アラバマ・ソング」。まずはドアーズのデビューアルバム「ハートに火をつけて」。2拍目と4拍目にビートがくるこの曲はロックバンドでも取り上げやすいようで、この演奏では間奏でのサーカスのジンタのような音(クラビネット?)がとても楽しげ。次にデヴィッド・ボウイ。シングルのみの発表でオリジナル・アルバム収録はなく、後にRYCO(日本では東芝EMI)でCD化された際にボーナスとして収録された(けど、最近のリイシューではその辺の発掘音源がゴッソリ抜けている。論外だ)。オフ・ビートと言うよりノービート。ボウイの才気大爆発だ。

 他にワイルの曲はジャズのスタンダードとしても演奏される機会が多く、まずは大スタンダード「マック・ザ・ナイフ」。ルイ・アームストロング他数多くのミュージシャンに取り上げられた。そして「スピーク・ロウ」。名盤と言われるウォルター・ビショップJrが有名(これは西川が最初に買ったジャズのCD)。それから「セプテンバー・ソング」。こちらはジャズ・ロック両方で取り上げられる機会が多い。

 ”クルト・ワイル歌い”として有名なのは、ウテ・レンパーというドイツの歌手。ワイルだけで1枚のアルバムを残していて、これが出世作。ジャンル的にはクラシックになるのだろうけど最近はオルタナ系アーティストと共演したロック・アルバムも出しているらしく、この人自体とてもオルタナな存在である。

 このように見てみると、ワイルはジャンルを超えて愛されている作曲家である事がよくわかる。今回取り上げるこの「星空に迷い込んだ男」は、ハル・ウィルナーという才人プロデューサーがロック・ジャズ・クラシックの様々なアーティストを集めて作ったワイルのカヴァー集。ウィルナーはジャンルを超えたコンピレーションを作らせたら右に出る人はいないと言われる人。そういう事実といい、人の集め方といい、ワイルにはノンジャンル的アプローチが最も似合うのだ。

 本アルバムに集められたアーティストは、スティング、ヴァン・ダイク・パークス、マリアンヌ・フェイスフル、カーラ・ブレイ、トム・ウェイツ、ルー・リード、トッド・ラングレン、ジョン・ゾーンなど。あらゆる様式の音楽がアトランダムに出てくる様は、さながら物置や骨董品屋の店先のよう。曲タイトルとともに散りばめられた”物”たちというジャケは実に的確だ。

 その後どうしても「三文オペラ」の実演を見たくて、いったのが斉藤晴彦率いる劇団「黒テント」のそれ。なんと時代劇というアレンジが加えられたものだった。ワイルの可能性はどこまでも広い。

 このハル・ウィルナーという人は、ジャンルを超えたアーティストを集めテーマにそったカヴァーアルバムを企画する事で名をはせた人物で、第1弾ニーノ・ロータ、第2弾セロニアス・モンク、そして、このワイル作品集が第3弾となる。その後ディズニー作品集などもリリースされるが、現行CDで入手できるのはディズニー以外洋盤でもほとんどない。その他の作品集も早急に復刻すべし!しかもこのワイル作品集には同時期発売のCDもあって、こっちのみ収録の数曲があるらしい。ぎゃあ。なお、検索かけてみて最近大ヒットとなった映画「テルミン」がひっかかったのが意外。なんとこの作品の音楽プロデュースもハル・ウィルナーだった。いやあ、すごい凄い人だ。あの映画もそうだけど、この人もまたつくづく”ノンジャンル”という言葉が似合う人なんだ。

 ところでワイルはブレヒトと親交があったせいか、格調高く扱われてしまう事もあるのだけど、それははっきり言って間違っている。彼はFMでポピュラーソングを聴くように扱うのが一番ふさわしい。なんと言っても「三文オペラ」なのだから。

« 地獄の番犬ケルベロス 従わなきゃならないものなんて、何もない。 | Main | 技術者で音楽家 »

「音楽」カテゴリの記事

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42595/40031678

Listed below are links to weblogs that reference ~星空に迷い込んだ男~クルト・ワイルの世界/VA ノンジャンルなコンポーザーとプロデューサーの出会い:

« 地獄の番犬ケルベロス 従わなきゃならないものなんて、何もない。 | Main | 技術者で音楽家 »